日本食品科学工学会誌
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技術論文
低温スチーマーにおける高齢者に適したニンジンの加工条件
豊泉 友康山本 寛人佐々木 麻衣
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2015 年 62 巻 7 号 p. 341-348

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抄録

本研究では,40から95℃の温度帯で蒸し加工が可能な低温スチーマーを用いて,ニンジンの軽度の咀嚼障害を有する高齢者向けの最適加工処理条件を明らかにすることを目的とし,クリープメータによる硬さ測定,HPLCによるβ-カロテンおよび糖類の定量およびヒドラジン法による総アスコルビン酸の定量をした.
容易に噛める硬さ条件を評価した結果,80℃120分処理,85℃60,90および120分処理,90℃30,60および120分処理が,容易に噛める条件であった.β-カロテンおよび糖含量を評価した結果,80℃90および120分処理,85℃60および90分処理,90℃30および60分処理が,β-カロテンおよび糖を保持する条件であった.蒸し温度を変えた際の総アスコルビン酸含量への影響を評価した結果,90℃30分処理の保持含量が最も高かった.同一個体で部位別(上部,中部および下部)の硬さを比較した結果,差は認められなかった.
以上の結果から,低温スチーマーを用いる咀嚼軽度障害を有する高齢者向けのニンジンの最適加工条件は,90℃30分処理であり,この条件は同一個体のニンジンのどの部位にも応用できると結論する.

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© 2015 日本食品科学工学会
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