日本食品科学工学会誌
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コンジョイント分析を用いた乾燥パプリカの最適ブランチング処理条件の検討
渡邊 高志折笠 貴寛小出 章二佐藤 和憲中村 宣貴椎名 武夫田川 彰男
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2015 年 62 巻 8 号 p. 394-401

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抄録

HWおよびSHSによってPOD残存活性比を数段階に調整した乾燥パプリカの品質(L-アスコルビン酸,総ポリフェノール,色彩)および消費者からみた嗜好度の変化を解析した結果,以下の知見が得られた.
1) L-アスコルビン酸保持の観点からみた場合,乾燥パプリカにおけるHWおよびSHSによるブランチング終了条件をPOD残存活性比0.8とすることで,オーバーブランチングを抑制しつつL-アスコルビン酸残存率を1.2-1.3倍程度に最大化できることが示された.
2)乾燥パプリカの総ポリフェノール保持の観点からすると,SHSがブランチング処理方法として適しており,また,ブランチング終了条件をPOD残存活性比0.8とすることで,オーバーブランチングを抑制しつつ総ポリフェノール残存率を1.3倍程度に最大化できることが示された.
3)乾燥パプリカの色彩変化抑制の観点からすると,浸漬操作のないSHSがブランチング処理方法として適しており,POD残存活性比0.1とすることで色彩保持効果を最大化できることが示された.
4)本研究における実験条件下において,重要度を考慮した複数品質の保持効果を最大化するブランチング処理終了条件はPOD残存活性比0.8であり,また,SHSの方がHWよりも複数品質保持効果の高い乾燥試料の製造に適していることが示された.
これらの結果から,コンジョイント分析を用いたブランチング処理による複数品質の保持効果の評価を行うことで,乾燥パプリカ製造工程における最適ブランチング処理条件の検討が可能であることが示された.

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© 2015 日本食品科学工学会
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