日本食品科学工学会誌
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嚥下困難者用介護食の物性設計のための食品ゲルの嚥下音に関する音響解析
秋間 彩香篠原 由妃谷米(長谷川) 温子石原 清香礒野 舞中馬 誠中尾 理美船見 孝博熊谷 日登美熊谷 仁
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2016 年 63 巻 10 号 p. 439-449

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抄録

本研究ではゲル状食品に関して,嚥下音測定から求められる嚥下時間と咽頭部最大流速Vmaxとの関係について検討した.試料としては,TPA試験から求められるパラメータと咽頭部流速との関係について報告のあるものを用いた.

試料の嚥下音波形から,喉頭蓋閉鎖に関わる時間t1,食塊流動時間t2,喉頭蓋開口に関わる時間t3の3つが求められた.試料濃度の増加に伴い,t2は減少する傾向がみられた.TPA試験から求められる硬さや食塊の見かけの粘度μの値が大きい試料ほど,t2の値は減少する傾向がみられた.咽頭部流速分布の広さ(流速分布観点からの “まとまりにくさ”)を示すVmaxが大きいほど,t2が大きくなる傾向がみられた.また,適切な濃度のゲル化剤を用いて調製されたゲルの食塊は,咽頭部流速の観点からは,一般的に誤嚥しにくいとされるヨーグルトと同様の “まとまりやすさ” になっていると評価できた.

以上から,ゲル状食品においても,嚥下音測定から求められる食塊流動時間t2は食塊の “まとまりやすさ”(咽頭部流速分布の観点から)の簡易評価法となりうることが示唆された.

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© 2016 日本食品科学工学会
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