日本食品科学工学会誌
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研究ノート
加工による影響を受けにくい微量元素組成による原藻わかめ,湯通し塩蔵わかめおよび乾わかめの産地判別
絵面 智宏國分 敦子阿部 洋俊濱田 真子加藤 栄一鈴木 彌生子
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2016 年 63 巻 9 号 p. 427-432

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抄録

原料から二次加工品まで,加工度の影響を受けにくい産地判別分析を検証するため,三陸,鳴門,中国および韓国で収集された素性の明確な原藻わかめ(原料),湯通し塩蔵わかめ(一次加工品)および乾わかめ(二次加工品)の12元素(Mg,P,Ca,V,Mn,Fe,Zn,As,Rb,Sr,CdおよびBa)濃度を測定した.加工塩の影響を取り除くため,固形分の補正を行い,加工による各元素濃度の変動を明らかにした.ただし,V,As,CdおよびBaの変動率はいずれの加工においても20%以下であった.

加工により変動しにくいV,As,CdおよびBaを用いて原藻わかめ,湯通し塩蔵わかめ,乾わかめに共通して使用可能な判別関数を構築するために正準判別分析をおこなった.変数増加法によってVのみが削除され,As,CdおよびBaが判別に有効であると選択された.有効性を確認するために,3元素(As,CdおよびBa)による判別モデルの検証を行った結果,正答率は三陸産100%,鳴門産100%,中国産90%および韓国産90%であり,原料から二次加工品までの加工度の異なるわかめの4産地判別に有効な判別式の可能性が見出された.

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© 2016 日本食品科学工学会
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