日本食品科学工学会誌
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プロヒドロジャスモン加用ジベレリンの秋季散布と収穫後青色LED光照射がウンシュウミカンの腐敗に及ぼす影響
山家 一哲古屋 雅司
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2017 年 64 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

ウンシュウミカン果実において,秋季のプロヒドロジャスモン加用ジベレリン(以下,GP)散布と収穫後の青色LED光照射が貯蔵中の腐敗に及ぼす影響について調査した.ジベレリン3.3ppmとプロヒドロジャスモン25ppmを混合して,9月に散布し,12月に果実を収穫し,予措を行った後に8°C貯蔵庫にて92日間貯蔵した.貯蔵中,青色LED光(ピーク波長465nm,放射照度10μmol·m-2·s-1)を果実に照射した(照射時間 : 1日当たり12時間).その結果,青色LED光照射により試験開始63∼92日目の累積腐敗果率が,低く推移することが明らかとなった.また,GP散布のみでは,累積腐敗果率に対する抑制効果が,認められなかった.GP散布と収穫後青色LED光照射の両方を行った果実は,収穫後の滴定酸含量が高い傾向にあったが,糖度についてはこれらの処理による差は認められなかった.以上の結果から,カンキツ貯蔵庫における収穫後の青色LED光照射は,貯蔵後期のウンシュウミカン果実の貯蔵病害を中心とした腐敗を抑制するが,上記濃度におけるGP散布のみでは腐敗抑制に寄与せず,青色LED光との交互作用も小さいことが示唆された.

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© 2017 日本食品科学工学会
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