2018 年 65 巻 11 号 p. 534-540
中国産の市販魚醤油11種類を対象に各種成分分析を行った結果,塩濃度は22.7%から26.9%の範囲内であり,既報の範囲内であった.pHは4.5から6.3の範囲内であり,既報よりも多様であることが示された.滴定酸度と全窒素,ホルモール窒素は日本産魚醤油と比較して多様であることが示された.有機酸は日本産と同様に乳酸や酢酸が優占であったが,一部クエン酸量が多いものが複数存在した.中国産魚醤油には総遊離アミノ酸に対するグルタミン酸の割合が著しく高いものが複数存在した.また,呈味に影響するヒスチジン量が少ないものも存在した.以上の結果より,中国産魚醤油は日本産魚醤油と比べ成分特性が多様であることが認められ,これは原材料,製造方法,加水量の違いに加え,副原料の添加などが影響するものと推察された.