日本食品科学工学会誌
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総説
サツマイモの甘さに関わる糖質成分
中村 善行
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2020 年 67 巻 9 号 p. 305-314

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抄録

サツマイモの甘さに関わる遊離糖類はグルコース,フルクトース,スクロースおよびマルトースで,それらは主にデンプンから生成される.糊化デンプンの β-アミラーゼによる加水分解で生じるマルトースは酵素活性の上昇に伴ってその生成量が増加するが,活性が0.2mmol maltose/min/mg proteinを超えると増加が抑制された.β-アミラーゼ活性がこのように高い正常な塊根ではマルトース生成量はデンプン糊化開始温度と相関が高かった.また,冷涼な環境で栽培すると,アミロペクチンの分子構造変化に伴ってデンプン糊化開始温度が低下し,マルトース生成量が増加した.これらの結果から,マルトース生成にはデンプン糊化が重要な役割を果たすと考えられる.マルトースに次いで含量の多いスクロースはその強い甘味から甘さに対する寄与はマルトースとほぼ同等である.スクロースは貯蔵中のデンプン分解に伴って塊根に蓄積するが,貯蔵温度が低下すると,スクロース代謝関連酵素の活性が変化して蓄積量が増加する.甘さの官能評価に影響を及ぼす塊根のテクスチャは加熱に伴うマルトース生成後に塊根に残存するデンプン含量と密接な関係が認められた.

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