日本食品科学工学会誌
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馬鈴薯新品種「パールスターチ」澱粉のビール醸造適性
中澤 洋三渡邉 拓海野田 高弘山﨑 雅夫
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2020 年 67 巻 9 号 p. 324-331

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抄録

馬鈴薯新品種「パールスターチ」澱粉について,澱粉性状の解析とビール醸造適性について検討した.「パールスターチ」澱粉の粒子形態はスムーズな球状で,平均粒径は23.5µmであり,Ca強化微粒子澱粉や通常の馬鈴薯澱粉よりも大粒子であった.「パールスターチ」澱粉は加水加熱により,64.8℃の低い温度で糊化を開始し,粘度が急激に増加したが,澱粉粒の崩壊後に直ちに粘度が急降下し,粘度は通常の馬鈴薯澱粉よりも小さくなった.さらに,麦芽アミラーゼ酵素存在下では,粘度上昇温度が62.0℃と無添加時よりも2.8℃低下し,糊化後に温度が下がっても,粘度が上昇(老化)しなかったことから,大部分の澱粉が分解されていることが示唆された.「パールスターチ」澱粉は前糊化処理を施さない場合でも,65℃加温の工程で,麦芽アミラーゼによって充分に糖化されることが明らかになった.「パールスターチ」澱粉を添加した麦汁発酵液のエタノール濃度は6.62%となり,麦芽のみの発酵液(7.01%)よりも若干アルコール分が低かったが,Ca強化微粒子澱粉を添加したもの(5.37%)および馬鈴薯澱粉を添加したもの(5.05%)よりも高いアルコール分であった.以上より,馬鈴薯新品種「パールスターチ」澱粉は,現在ビール醸造に広く利用されている前糊化処理の必要なコーンスターチとは異なり,前糊化処理を施さなくとも,65℃加温をすることで,麦芽アミラーゼによって充分に糖化されることから,製造工程の簡略化が可能となり,酒税法改正後のビール類の副原料として,有効な澱粉原料となることが示唆された.

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