日本食品科学工学会誌
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熱アルコール下における大豆トリプシンインヒビターの不活化とそれに伴うウレアーゼ活性の挙動
宮本 雄基角田 光淳田崎 達明栗 彩子川原 一芳
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論文ID: NSKKK-D-22-00016

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抄録

大豆は機能性や栄養に富んだ有用な食材であるが,不快な味や臭い,さらに不活化の困難な栄養阻害因子などを含み,利用を妨げている.そこで,栄養阻害因子のトリプシンインヒビター(TI)の不活化にアルコールのタンパク質変性能を利用し,不活化を検討した.また,耐熱性のウレアーゼ(UA)とTIの不活化が連動6)するのかについて考察した.沸騰水浴中で大豆粉分散液及び枝豆のTI活性度の経時変化を調べた.その結果,大豆粉のTIはほとんど不活化しなかったが,枝豆は茹で汁中への溶出と共に緩やかに減少傾向を示した.また,大豆TIは70 %アルコール下,常圧加熱ではほとんど不活化しなかった.そこで容器に大豆粉とアルコールを入れ密閉し,加圧加熱による不活化を検討した.その結果,この処理によってTIの不活化が顕著に認められた.なお,加圧熱アルコールによるUA及びTIの不活化は,アルコール濃度とその温度及び時間に依存することが示唆された.TIの不活化には,エタノールを添加した加熱が必要であり,これはエタノールを加えない同温度による加熱との比較で明らかな差を示した.またUAは105 ℃,エタノール濃度20 %以上でほぼ不活化した.これらの結果より,両者の同時不活化が可能であることが確認できた.

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