日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
日向夏ミカンに関する研究(第2報)
薄層クロマトグラフィーによる芳香中性化合物について
門田 利作中村 武彦
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 14 巻 1 号 p. 7-10

詳細
抄録

以上の実験結果をまとめてみるとつぎのようになる。
(1) 日向夏の外果皮に対する収率は2.12%で全果に対して0.44%であった。これを他の柑橘類レモン,オレンジと交献12)によって比較してみるとそれぞれ全果に対し0.80%, 0.40%前後であるので,日向夏はこれら柑橘類に比べて精油含有量に大きな差はないようである。
(2) 日向夏芳香中性化合物中,炭化水素化合物として,テルペン系のα-ピネン,d-リモネンを確認でき,かつ他の柑橘類と同じくd-リモネンが主成分であると思われる。
(3) 炭化水素化合物以外に含酸素化合物としてテルペン系のシトラル,リナロール,ゲラニオールが確認され,また脂肪族としてカプリルアルデヒド,デシルアルデヒド,ノニルアルコール,デシルアルコールが確認できた。
(4) ここで確認されたテルペン系および脂肪族化合物は他の柑橘類精油中にも含まれているにかかわらず,日向夏の芳香には一種独特のものが感じられる。これがなにに由来するかいろいろな要因によるものと思われるが,まず第1に考えられることは特有の微量物質の存在,成分の含量比などと思われる。引きつづきガスクロマトグラフ法で研究する予定である。
本報の一部は1964年10月16日宮崎市で行なわれた日本農芸化学会西日本支部大会で講演した。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top