日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆リン脂質の食品化学的研究
(第1報)大豆および味噌のリン脂質組成について
柴崎 一雄木村 繁昭
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ジャーナル オープンアクセス

1969 年 16 巻 2 号 p. 57-62

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抄録
大豆および大豆利用食品である味噌,醤油,納豆,凍豆腐のリン脂質組成をTLCで検討した結果,大豆のリン脂質組成は少なくとも6種類存在し,そのうちの2種類はphosphatidylcholine, phosphatidylethanolamineと推定された。いっぽう味噌では1スポットのみ検出されエステル型ステリン配糖体,またはステリン配糖体と推定された。
味噌と大豆のリン脂質組成の相違の原因を明らかにするため麹抽出液,麹かびで大豆レシチンを処理した結果,TLCパターン挙動,遊離脂肪酸および水溶性リンの増加より,酵素作用で大部分のリン脂質は分解し,味噌と同一と考えられるスポットになることが確かめられた。米麹原料の米のリン脂質組成中に味噌と同一と考えられる成分が検出され,味噌のリン脂質は原料の大豆および米中のものが麹かびの酵素により分解されないで残存したものであると考えられた。
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