日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
果実およびそ菜類のタンニン成分
(第11報)キチンによるタンニンの吸着
中林 敏郎牧田 輝夫
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1972 年 19 巻 3 号 p. 111-116

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抄録

不溶性除タンニン剤としてのキチンのタンニン吸着能を検討した結果を要約すれば次のようである。
(1) 除タンニン率はpH3~7の間ではpHの影響をあまり受けないが,高温ほど低下する。また食塩は吸着を促進するが,蔗糖とエタノールは阻害する。
(2) キチン量の相対的な増加に伴って除タンニン率は増加するが,水溶性除タンニン剤にみられたような一定の関係は成立しない。
(3) キチンをセライトにコーティングすると除タンニンの効率が向上する。
(4) キチンは低分子ポリフェノールをほとんど吸着せず,通常のタンニンをよく吸着するので,タンニン抽出液をキチン処理すると渋味のあるタンニンの大部分が除かれる。
(5) キトサンの除タンニン能はキチンよりも大きいが,キトサンはpH4以下で溶解するので実用には適しない。

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