抄録
柑橘類脱苦味剤であるナリンギナーゼを不溶化することを目的として,イオン結合法により担体,吸着条件などを検討し,DEAE-セルロースを担体としてpH6.0でナリンギナーゼを吸着させると,native酵素に対しほとんど100%の活性回収率を示すという結果を得た。
この不溶性ナリンギナーゼをnative酵素と比較検討した結果,(1)最適pHは4.5と変らないが酸性側での活性が強まる,(2)最適温度は50℃でやや低くなるが温度活性曲線のピークは若干プロードになる,(3)熱安定性は増しとくに60℃における差が著るしい,(4)保存性も非常に増加する,などの性質が認められた。