日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
各種解凍条件が凍結鯨肉の品質に及ぼす影響について
吉岡 慶子
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1975 年 22 巻 5 号 p. 193-198

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抄録

凍結食品の適切な解凍方法を得るため,解凍温度,解凍速度の観点から凍結鯨肉を試料として,0, 10, 20,30および50℃における空気解凍と高周波解凍を行い,これら解凍条件が,解凍肉の品質に及ぼす影響を検討した。
解凍温度の上昇に伴い,重量減少率およびドリップ流出率は増加し,ヤング率および最大降伏時の歪エネルギー量も低下し,また,応力-歪曲線の傾きの低下が認められた。組織学的観察によると,30℃, 50℃の高温度では,肉組織および筋肉繊維の損傷が認められた。一方,ドリップ流出率とヤング率の間には高い逆相関関係が認められた。ドリップ中の全窒素含有率は,0℃,30°および50℃で高い値を示した。
空気解凍の場合,解凍温度10°,20℃におけるものが,その品質変化の点から好ましかった。とれらに次いで,高周波解凍であった。しかし,高周波解凍の場合,解凍ムラがみられたので,これには,一考を要すると考えられる。

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