日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
野菜類漬け物の硝酸・亜硝酸塩含量について
園芸食品の硝酸・亜硝酸塩に関する研究(第8報)
畑 明美緒方 邦安
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1979 年 26 巻 1 号 p. 6-12

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抄録

漬け物原料としてハクサイ,キャベツ,セイサイ,キュウリを用いて塩漬け,糠漬け製品を作り漬け込み時における硝酸塩,亜硝酸塩含量の変化を調べた。
ハクサイ,キャベツを塩漬けした場合,漬け込み後,ハクサイでは3日,キャベッでは4日までは材料中の硝酸塩は減少し,漬け汁中の硝酸塩は増加した。その後キャベツと同漬け汁ではやや増加がみられたが,ハクサイでは変化しなかった。亜硝酸塩の生成はハクサイでは漬け込み4日後,キャベツでは5日後に最高に達し,以後急速に減少し,8日後,6日後にはそれぞれ僅少となった。ハクサイ塩漬けにアルコールを添加したものでは,亜硝酸塩の生成量が少なく,キャベツに酢酸を添加した場合,亜硝酸塩はまったく生成されないことを認めた。セイサイの塩漬けもハクサイやキャベツと同様な硝酸塩含量の消長がみられたが,亜硝酸塩生成量は比較的少なく,6℃,20℃保存下では6℃の方が多かった。
ハクサイ,キャベツの糠漬けでは材料中の硝酸塩は漬かりの進行に伴なって減少したが,糠床中の硝酸塩の増加は緩慢であった。亜硝酸塩の生成は塩漬けに比べ少ない傾向にあった。キュウリの糠漬けでは普通床とアスコルビン酸添加床を作って調べたところ,アスコルビン酸添加床のキュウリ中のアスコルビン酸は増大したが,硝酸塩含量の変化は両床とも大差はみられなかった。
市販漬け物の硝酸塩含量は13~1491ppmで亜硝酸塩はコカブ塩漬けで259ppm検出されたが,他はほとんど認められなかった。

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