抄録
マイワシ脂質の酸化安定性ならびに各種抗酸化剤の効果を試験した。その結果,組織別では皮の脂質が最も酸化されやすく,腹腔内脂質および血合肉脂質がこれに次ぐが,普通肉脂質は著しく安定であった。
(1) 脂質群別ではリン脂質が最も不安定であり,次いで遊離脂肪酸および中性脂質の順であった。
(2) 各種抗酸化剤中, BHA, 0.02%およびトコフェロール, 0.08~0.12%の添加が皮あるいは腹腔内脂質の酸化防止に対して最も効果的であった。
(3) -20℃で凍結貯蔵したマイワシでは, 0.1%亜硫酸水素ナトリウム, 1%エリソルビン酸ナトリウム,市販のトコフェロール製剤あるいはBHA-BHTの混合液等で浸漬またはグレーズ処理を行うことにより,脂質の酸化を効果的に阻止できた。