日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
麹菌のキシラナーゼ活性について
麹菌のヘミセルラーゼに関する研究(第1報)
山本 泰東 和男好井 久雄
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1981 年 28 巻 9 号 p. 496-501

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抄録

醸造における原料の有効利用や麹菌による着色コントロールを可能にするためには麹菌のヘミセルラーゼの作用を明らかにする必要があり,本報ではまず市販種麹から分離したキシラナーゼ活性について検討し,次の結果を得た。
(1) 麹菌のキシラナーゼ活性測定の条件は,pH5.5,40℃ 30分の反応が適当であった。
(2) 〓麹におけるキシラナーゼの生産は,散水が60%以上で30℃培養が優れ,40~60時間において急激に増加し,70時間で最高値に達した。
(3) 麹菌を形態や種類によってグループ別けした場合には,これらのグループ間にキシラナーゼ平均活性の差を認めたが,いずれのグループにもキシラナーゼの強い菌株と弱い菌株が含まれていた。
(4) キシラナーゼ活性と中性及びアルカリ性プロテアーゼ活性との間には高度に有意の相関があり,醤油の醸造等においてヘミセルロースと蛋白質の分解の関連性が推測された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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