1985 年 32 巻 10 号 p. 754-758
納豆及びヒキワリ納豆の製造及び保存中におけるトコフェロール含有量の変化について検討した。油脂をクロロホルム・メタノール混液(2:1)にて試料から抽出し,油脂中のTocを螢光検出器を用いた高速液体クロマトグラフにて分析した。
浸漬及び蒸煮工程によって豆中のトコフェロール含有量は増加し,特に蒸煮によって約30%増加した。この増加は,水溶性成分の一部が豆から浸漬水や蒸煮液中に漏出するために生しるために現れると推察された。発酵及び保存中にはトコフェロール含有量はほとんど変化しなかった。しかし,25℃で7日間保存したヒキワリ納豆では,品質の劣化と共に95%のα-Tocが分解した。
市販納豆及びヒキワリ納豆12点について検討した。トコフェロール含有量の平均値を以下に示した。αーToc:1.3, β:0.2, γ:9.2, δ:3.7,総Toc:14.3mg/100g,湿重値。