日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ウメ果汁の糖液抽出に対する品種と熟度の影響
ウメの成分と加工適性(第2報)
垣内 典夫森口 早苗
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1985 年 32 巻 9 号 p. 677-684

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抄録

ウメ(Prunus mume SIEB. et ZUCC.)果汁の清透圧に基づく糖液抽出に対する品種と熟度の影響を,果実の生長や成分の変化との関連で,1981年から1983年の3年間にわたり検討した。
(1) 糖液の浸透圧に基づく果汁の抽出率は,果実の生長と成熟に伴って減少した。しかし,果実1個当たりの果汁収量は,適熟期までは果実重の増大に伴って増加した。
(2) 適熟期における26品種の果汁抽出率は,ほとんどの品種が55%以上を示したが,1個当たりの果汁収量は大果系品種ほど多くなる傾向がみられた。
(3) 有機酸と遊離アミノ酸の抽出は原料果実の含有に比例して抽出された。これらの成分の抽出率は果実の生長と成熟に伴って減少し,適熟期ではいずれも約40%であった。また,核部と種仁部の遊離酸も果肉のそれと同時に抽出されることがわかった。
(4) 代表的品種'南高'での果汁抽出のための採取適熟期は開花後105~110日であると判定された。
(5) 糖液抽出による透明液汁に完熟・黄化した果肉ピューレを5~7.5%添加することにより,果汁品質を改善できることを明らかにした。

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