日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
焙煎によるコーヒー豆のトリゴネリンとカフェイン含量の変化
中林 敏郎政野 光秋
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1986 年 33 巻 10 号 p. 725-728

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抄録

先に考案したトリゴネリン(T)とカフェイン(C)の簡易同時定量法を用いて,コーヒー豆焙煎中の両者の含量の変化,および各種の生豆や焙煎豆,ならびにコーヒー製品の両者の含量比(T/C)を検討した.
(1) 室温から240℃まで21分間の焙煎中,カフェイン含量は豆の重量減に応じて相対的にわずか増加するが,トリゴネリン含量はメディアムロースト以後急激に分解減少した.
(2) コーヒー生豆や焙煎度の異なる豆を分析した結果,そのT/Cの平均値は生豆で0.86,メディアムローストで0.73,フレンチローストで0.55,イタリアンローストで0.15となり,T/C値から豆の焙煎度を推定できることが示唆された.
(3) インスタントコーヒーのT/C値にはかなりの幅があるが,それらの平均値は0.43で,原料豆の平均的な焙煎度はフレンチローストよりやや強いと推定さた.
(4) 缶詰コーヒー飲料のT/Cの平均値は0.42であるが,個々の値にはかなりの幅がある.しかし大部分のものの原料豆の焙煎度はフレンチロースト付近と推定された.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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