無核ユズの酸用カンキツとしての特性について緑色果および黄色果についてユズと比較し,検討した.
(1) 無核ユズはユズに比較し,緑色果および黄色果共に果実重量は小さく1/2であるが,種子をほとんど含まず,搾汁率が約30%でユズより2倍高かった.
(2) 酸糖比(糖酸比の逆数)は無核ユズの緑色果で3.29,黄色果で2.08であり,一方,ユズではそれぞれ,1.20, 2.44であった.
(3) アルコール不溶性固形物中のペクチン含量は無核ユズで低く,ユズの1/2であった.果汁の物理恒数は粘度以外はほぼ同じであった.粘度は無核ユズの方がユズよりも低かった.
(4) 果汁のカロテノイド含量,果汁の色,アスコルビン酸含量はいずれも無核ユズとユズで大差なかった.3点識別試験法による官能的評価では,食味の点で,無核ユズとユズとの間に有意差はみられなかった.
(5) 果皮油の収量は黄色果の無核ユズでユズより約2倍多かった.果皮油の組成割合は無核ユズとユズでほぼ同じであった.