日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
焙煎によるコーヒー豆組織の変化
中林 敏郎鈴木 邦男
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1986 年 33 巻 11 号 p. 779-782

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抄録

焙煎に伴うコーヒー豆の著しい膨化と脆化の原因を明らかにする為に実験を行ない,次の事実を明らかにした.
(1) 焙煎により豆の体積はイタリアンローストで約70%増となり,比重は生豆の1.16がイタリアンローストでは0.49と軽くなった.
(2) 豆の圧縮強度は生豆の51.8kgからイタリアンローストでは1.72kgと著しく脆くなった.
(3) 走査型電子顕微鏡観察により,焙煎の進行に伴なって表面のき裂は次第に大きく深くなると共に,豆の内部に球状の空胞が発達してスポンジ状となり,さらにイタリアンローストでは空胞壁の破壊もみられた.
(4) この豆の内部組織のスポンジ化が豆の膨化と脆化の直接の原因であることを確かめると共に,焙煎時の熱反応の進行について組織学的に若干の考察を行なった.

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