日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
キウイフルーツプロテアーゼの利用について
キウイフルーツの加工利用について(第2報)
曽田 功金子 美穂佐藤 隆英中川 弘毅小倉 長雄
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 34 巻 1 号 p. 36-41

詳細
抄録

キウイフルーツのプロテアーゼに関する基礎的な実験を食品レベルで行い次の結果を得た.
(1) キウイフルーツのプロテアーゼ活性は,アゾカゼインを基質とした時,イチジク,パイナップルのプロテアーゼ活性よりやや低く,パパイヤのプロテアーゼ活性より僅かに高かった.
(2) プロテアーゼ活性は熟度の進んだ果実に強く,果実内では果心部より果肉部に多く存在していた.
(3) 粗酵素液は,i) 20℃, 4℃, -20℃に24時間放置しても,4℃区と-20℃区はほとんど活性低下は認められず,20℃区で約30%の活性低下に止まった.ii)-20℃では長期間凍結保存した場合,活性は3ヶ月で約25%低下しほぼ安定であった.
果実を凍結乾燥粉末にして,20℃,暗所でデシケーター中に保存した場合,活性は1ヶ月で約20%低下し比較的安定であった.
(4) キウイフルーツのプロテアーゼの至適pHは4.2付近であり,5分間の熱処理に対する安定性は50℃は90%以上の活性が保たれたが,60℃以上の処理では活性は完全に失われた.
(5) 基質特異性はカゼイン,ゼラチンに対し高く,アゾカゼインに対しては,それらより低かった.
(6) イカの足肉とササミに対する消化実験において,両者共に12℃, 24時間の処理で顕著な組織の崩壊が認められた.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top