日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
四ツ溝柿の成熟,貯蔵および干し柿加工中のカロチノイド組成の変化
近 雅代榛葉 良之助
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1987 年 34 巻 3 号 p. 155-162

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抄録

'四ッ溝柿'(Diospyros kaki Thunb. var. Yotsumizo)のカロチノイド組成が成熟中,および貯蔵,干し柿加工後にどのように変化するかについて果皮と果肉に分けて調べた.
(1) カロチノイド量は成熟するにつれ果皮,果肉ともに増加し,特に完熟直前から急増した.果皮ではβ-カロチン,クリプトキサンチン,果肉ではクリプトキサンチンの増加が著しく,完熟時にはそれぞれ24%, 18%,37%であった.完熟時,果肉のカロチノイド量は果皮の約1/9に留まった.
(2) 成熟中におけるカロチノイド量と赤色度を表わすa値との間には,果皮では0.986,果肉では0.934の正の相関が得られた.
(3) 貯蔵により果皮カロチノイドの増加量(20mg/100g)は著しく多量となった.これはβ-カロチンの35mg/100gの増加とルテイン,アンテラキサンチン,クリプトキサンチンの減少とゼアキサンチン,ビオラキサンチン,シスアンテラキサンチンの消失によった.果肉のカロチノイド量の増加はわずかであり,その中でβ-カロチンは増加し,クリプトキサンチンは減少した.
(4) 干し柿ではカロチノイド量は完熟果の3倍になった.しかし生鮮物に換算し直すと約17%の減少となった.減少の1/2はβ-カロチンであり1/4はクリプトキサンチンであった.また生鮮時5, 6エポキシカロチノイドであったものが干し柿加工によってすべて5, 8エポキシドに異性化された.さらにリコピンやハイドロキシ-α-カロチンなどの生果ではみられなかったカロチノイドが観察された.
(5) クロロフィル量は成熟するにつれ果皮では減少したが消失することなく完熟時にも残存していた.果肉では成熟中ほとんど変化がなく完熟時には果皮の1/3であった.貯蔵によってクロロフィル量は果皮,果肉ともに変化しなかった.

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