1987 年 34 巻 3 号 p. 185-189
大豆,枝豆およびきな粉中の,K, Mg, Ca, Zn, Mn, CuおよびFeを原子吸光法により定量するための前処理法として,塩酸抽出法の適用性を白金皿を用いる乾式灰化法と比較検討した.
均質化調製試料をポリプロピレンびんに量り取り,1%または3%塩酸を加えて,室温または70~80℃で加温しながら時々振り混ぜて1時間抽出して試料溶液を調製し,各元素を原子吸光法で測定した.同時に乾式灰化法による試料溶液を用い原子吸光法で測定した値と比較し以下のことがわかった.
(1) 1%塩酸室温抽出によりK, Mg, Ca, ZnおよびMnは完全に抽出された.
(2) 1%塩酸70~80℃加温抽出により上記金属に加えCuも完全に抽出された.
(3) 3%塩酸70~80℃加温抽出により上記金属は全て抽出され,Feも90~95%抽出された.