日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
業務用カットレタスの製造と品質保持に関する研究
太田 英明菅原 渉
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1987 年 34 巻 7 号 p. 432-438

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抄録

業務用カットレタスの適正な製造・貯蔵条件を見出すことを目的に,5×5cmに処理したカットレタスの5および10℃における貯蔵の安定性を物理的,化学的および官能的方法によって調べた.
(1) 切断工程では,鋭利な刃で処理したカットレタスの品質が鈍い刃あるいはチョップ切りしたものより良好であった.洗浄工程では,流水洗浄,バブリング洗浄によって生菌数が1/10~1/100に減少し,品質も保持されていた.アスコルビン酸,次亜塩素酸ナトリウムのような化学薬品の効果は認められなかった.
(2) 脱水工程では,1000rpm, 30秒の遠心処理が顕著にカットレタスの品質保持期間を延長させた.包装材料はON/PE, 60が最も良く,150mmHgの脱気包装が長時間褐変および異臭の生成を抑えていた.
(3) 貯蔵中では,アスコルビン酸,クロロフィル,グルコース,フラクトースおよび貫入抵抗値とも徐々に減少したが,ポリフェノール含量は7日以降で顕著な増大が認められた.酸素濃度2~3%でエチルアルコールの生成が見られ,その生成量は官能検査による品質評価と良く一致していた.供試カットレタスの呼吸速度は0℃でも20 (CO2 mg/kg・hr)と高かった.
(4) 以上から,カットレタスの適正な製造・流通条件として,鋭利な刃による切断,冷却水(5~8℃)による流水洗浄,バスケット型遠心分離機(φ52cm, 1000rpm)で30秒脱水,ON/PE, 60袋充填,脱気(150mmHg)包装,1~5℃下での保管・流通を設定した.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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