日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
高温(30℃)下におけるスモモ果実の追熟抑制に及ぼすエセホンの影響
辻 政雄小宮山 美弘
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1990 年 37 巻 12 号 p. 940-945

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抄録

‘ソルダム’スモモの30℃下における追熟抑制現象を解明する手掛かりとしてエセホン処理の影響を検討した.エセホン処理は, 300ppm及び600ppm濃度のものに5分間浸漬した.
(1) エチレンは,貯蔵1日後に300ppm区では1.1μl/kg/h, 600ppm区では3.6μl/kg/hが検出されたが,その後両者とも徐々に減少した.
(2) 呼吸は,クライマクテリックパターンは見られなかったが,その呼吸量は無処理のものに比較して増加した.
(3) 果実の軟化は,エセホン処理により促進されたが,600ppm区の方が300ppm区より顕著であった.
(4) 果皮の赤色化は,エセホン処理により促進され,その濃度が高いものほど顕著であった.しかし20℃貯蔵のものに比較すると,着色速度は遅かった.一方,果肉ではエセホン処理によっても着色が見られず,アントシアニン合成経路のkey enzymeであるPAL活性は減少傾向であった.
(5) 滴定酸度と糖含量は,エセホン処理しても無処理のものと大きな差異は見られなかった.

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