日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ヤマノイモ(Deoscorea)澱粉の諸性状について
永島 俊夫鴨居 郁三
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1990 年 37 巻 2 号 p. 124-129

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抄録

4品種のヤマノイモ(銀杏芋,つくね芋,相模早生,長芋)より澱粉を分離し,その諸性状について比較検討した.
(1) 澱粉の粒度分布は長芋が最も大きく,相模早生が最も小さかった.また, X線回折図形はいずれもC型を示したが,長芋はややA型に近いC型であった.
(2) 澱粉粒の酵素による分解性は極めて低く,特に長芋は24時間後においても13%程度であった.
(3) 各澱粉について,ヨウ素吸収曲線および青価を求めたところ,最大吸収波長はつくね芋が最も高波長側にあり,青価は長芋が最も高かった.また,ヨウ素親和力からアミロース含量を求めたところ, 21.5%(長芋)から23.6%(相模早生)であった.
(4) 澱粉の膨潤力は長芋が最も高く,溶解度は最も低かった.また,アミログラフィーの結果も長芋澱粉が他の3品種とは異なる性状を示した.
(5) 各澱粉をイソアミラーゼにより枝切り後,ゲル濾過を行ったところ, 3つのフラクションに分画され,それぞれのフラクションの割合は長芋が他の3品種とやや異なっており,構造上の差異が認められた.

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