日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
発酵漬物由来細菌の亜硝酸生成におよぼす環境要因の影響
宮尾 茂雄小川 敏男
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1990 年 37 巻 9 号 p. 670-675

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抄録

発酵漬物から分離した亜硝酸生成菌を対象に,亜硝酸の蓄積および硝酸還元酵素活性におよぼす製造環境要因の影響について調べた.
(1) Pseudomonas属菌は20~30℃で最も増殖が活発で,亜硝酸の蓄積も10~30℃で多かった. Enterobacter属菌, Klebsiella属菌は30~40℃で最も増殖が活発で,亜硝酸の蓄積も30~40℃で多かった.
(2) Pseudomonas属菌は食塩の存在しない条件下で増殖,亜硝酸の蓄積とも多く,食塩濃度が4%以上あると増殖は阻害され,亜硝酸もほとんど蓄積されなかった. Enterobacter属菌, Klebsiella属菌は食塩濃度6%でも菌の増殖と亜硝酸の蓄積がみられ, 1~2%の食塩存在下で最も多かった.
(3) 硝酸還元酵素活性は, Pseudomonas属菌では食塩濃度が高まるにつれ急激に低下したが, Enterobatter属菌やKlebsiella属菌ではそれほど大きな低下はみられなかった.
(4) 硝酸還元酵素活性に対し,有機酸のなかではリンゴ酸や乳酸が比較的強い賦活作用を示した.したがって,原料野菜に含まれているリンゴ酸は亜硝酸の生成に一部寄与しているものと考えられた.
(5) 硝酸還元酵素活性に対する糖の影響をみたところ,Pseudomonas属菌では,果糖が活性を促進する傾向が認められ, Enterobacter属菌, Klebsiella属菌では,ブドウ糖や果糖に顕著な賦活作用が認められた.

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