日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
緑茶香気の官能検査データの多変量解析
重松 洋子下田 満哉吉武 清晴筬島 豊
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1991 年 38 巻 4 号 p. 309-315

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抄録

緑茶の香気特性を解明することを目的として,評価用語に対して専門の官能検査員がもっている匂いイメージを明らかにするとともに,品質の異なる60種の緑茶の香りを専門の官能検査員により評価し,得られた官能評価結果を数量化理論第3類ならびにクラスター分析により解析した.
(1) マイナス要因とされる匂い用語についてはパネリスト間にその匂いイメージに関して若干のバラツキが認められたが,プラス要因の用語についてはイメージが良好に一致していることが明らかとなった.
(2) 数量化理論第3類の第1,第2軸上で“おおい香”,“返り香”が特徴的な玉露,“茶の香り”,“新鮮香”,“みる芽香”に優れた上級煎茶,マイナス要因の“こわば臭”,“木茎臭”,“むれ臭”,“いちょう香”,“青臭”,“異臭”などを含む中・下級煎茶を特徴付けることができた.
(3) 全情報の80%を要約した数量化理論第3類の第1~第3軸のスコアーを用いてクラスター分析を行なった結果,供試緑茶を匂い特性に基づいて8群に分類することができた.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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