長者ナス(小ナス)から単離したナスニン,および他の2~3のアントシアニン色素が,リノール酸-リポキシダーゼによるβ-カロチンの退色,およびリノール酸の自動酸化に及ぼす影響について,それぞれ,カロチン退色法,ロダン鉄法を用いて検討した.pH 7においてカロチン退色法で測定した抗酸化効果はナスニンで最も強く,次いで,マルビン,ルブロブラッシンの順であった.pH 2.8においてロダン鉄法で測定した抗酸化効果も同じ傾向を示した.また,抗酸化効果はアグリコンのディルフィニジン,マルビジンおよびシアニジンにも認められたが,後2者の活性はそれらの配糖体と大差がなかった.ナスニンはディルフィニジンに比べて高い活性を示した.この結果はリノール酸の自動酸化系におけるナスニンの強い活性にそのp-クマール酸部分が関わっている可能性を示した.