日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
漬物中の生菌数および大腸菌群の簡易測定法の検討
若林 素子宮尾 茂雄
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1993 年 40 巻 5 号 p. 248-352

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抄録

各種漬物の生菌数の測定を,平板混釈法,ペトリフィルム法およびスパイラルプレーティング法により,また,大腸菌群の定性を,BGLB試験管法,Pro・mediaMT-21法およびColilert法により行い,結果を比較検討した.
生菌数については,試料127検体の各方法による測定値間の相関係数および分散比F値は,平板混釈法とペトリフィルム法で0.991および1.0756,平板混釈法とスパイラルプレーティング法で0.959および1.1830,ペトリフィルム法とスパイラルプレーティング'法で0.962および1.0997であった.これらのF値の有意水準5%における両側検定を行った結果,どの方法においてもそれらの分散に有意差は認められなかった.
大腸菌群については,試料137検体の48±3時間培養後の3法間の結果において86.1から92.0%の一致率が得られた.さらに,Pro・mediaMT-21法およびColilert法は結果が迅速に得られ,特にPro・mediaMT-21法においてはその判定も明確であった.Colilert法は,試料によっては大腸菌群の判定が困難な場合があったが,E.coliの存在はUV照射による蛍光反応により確認できた.
以上の結果から,生菌数の測定および大腸菌群・大腸菌の定性試験を実施する際の簡便法として,ペトリフィルム法, Pro・mediaMT-21法およびColilert法が十分利用できることが明らかとなった.

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