1993 年 40 巻 5 号 p. 309-315
食品素材としてのホエータンパク質製品の有効利用の可能性を探るために,WPCおよびWPIの熱凝集性に及ぼすpH,食塩および塩化カルシウムの影響について,直線的温度上昇法による濁度の変化,および80℃,1分加熱による粘度の変化を測定することにより検討した.
(1)直線的温度上昇法による濁度の変化については,WPC,WPIともにpH5.0で濁度の変化が認められ,WPIの方がその傾向が強かった.食塩については200mMの添加で加熱による明らかな濁度変化が認められた,塩化カルシウムについては両者とも1mMの添加で加熱により大きく濁度が変化し,とくにWPIにおいて約80℃で最大のピークが得られた.
(2)粘度については,WPC,WPIともにpHの影響は少なかった.食塩200mMを添加したWPIでは加熱による明らかな粘度変化が認められた.塩化カルシウム添加についてはWPCでは加熱による粘度変化はわずかであったが, WPIでは未加熱でも添加量の増加にしたがって粘度が変化し, 5mM添加したWPIでは加熱により粘性が大きく変化し,凝固物の形成が認められた.