日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
切り干し大根チップエキスのソーセージへの利用:無亜硝酸塩塩漬系における塩漬剤源
杉田 浩一山内 清大橋 登美男水光 正仁三浦 道雄
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1993 年 40 巻 5 号 p. 339-347

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抄録

切り干し大根のチップから調製した抽出エキス(チップェキス)が亜硝酸塩の代用物として利用できる可能性を,チップエキス添加ソーセージの発色,風味および保存性を通じて検討した.チップエキスを用いて調製したポークソーセージでは,4日間の短期塩漬で塩漬肉製品の特徴的色調を発現させるのに十分なNO2一量を生成した.しかし,1%のチップエキス添加ポークソーセージの場合,加熱後冷蔵中,加熱塩漬肉製品の特徴的色調を保持するためには,還元剤としてアスコルビン酸塩の共存が必要であった.またチップエキスは抗酸化活性を有し,アスコルビン酸塩の共存下で増強された.さらに,添加したチップエキスがポークソーセージにおいて静菌作用を有することが示唆された.1%あるいは3%のチップエキスを添加したフランクフルトソーセージの味および香りは,無添加あるいは5%のチップエキスを添加したソーセージより好ましかった.チップエキス5%添加ソーセージは明白なダイコン様風味を有していた.無硝酸塩ソーセージ原料にはアスコルビン酸塩とともに1%あるいは3%のチップエキスを使用することが適当であり,加熱塩漬肉製品の特徴的色調と風味の発現を確実にした.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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