日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
超音波パルスエコー法によるかまぼこ内部の気泡の検査方法
高井 陸雄鈴木 徹三堀 友雄陳 正宜発地 由美子小嶋 秩夫
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1994 年 41 巻 12 号 p. 897-903

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抄録

かまぼこ内部に存在している気泡の状態を汎用の金属用の超音波探傷器を使用し, 1プローブ法によって検査する方法を検討した3試料には市販のかまぼこを5種類使用した.以上の実験の結果,以下のことが明らかになった.
1) かまぼこの音響インピーダンスは水とほぼ等しいため,かまぼこ内部の気泡の界面で音波はほぼ完全に反射する.このため,かまぼこ内部に存在する気泡の有無,大小を超音波パルスエコー法によって非破壊的に検査することが可能であった.
(2) 超音波オッシログラム上から読み取れるパルスの個数とかまぼこ内部に存在している気泡数との間には複雑な関係があるものの,気泡数が少ない場合にはパルスの個数も少なく両者は比例関係を示した.しかし,気泡数の増加とともにパルス数は一定値に飽和し,気泡数の計測は困難となった.このような関係は簡単なモデルによる計算からも明らかになった.このような手法によって気泡の数を正確に求めることは困難ではあるものの,プローブ径,試料の厚さを選択する事により気泡の多少を非破壊的に検査可能であることがわかった.

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