日本食品科学工学会誌
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紅麹と黄麹の併用によるとうふようの製造
沖縄におけるとうふようの製造に関する研究(第10報)
安田 正昭松本 哲也坂口 真樹金城 さきえ
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1995 年 42 巻 1 号 p. 38-43

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抄録

とうふようの品質に及ぼす麹の種類とその組み合わせの影響,紅麹と黄麹とを組み合わせたとうふようの熟成過程における一般成分,タンパク質,窒素成分及び物性の経時的変化等について検討した.
(1)とうふようの品質に及ぼす麹の種類とその組み合わせについて調べたところ,紅麹と黄麹を組み合わせた製品は,これらの麹を単独で使用したものに比べてより好まれる傾向にあることが官能評価により明らかにされた.最も好まれる製品は紅麹25%,黄麹75%から成る麹を用いた時に得られた.そこで,この配合割合で調製したとうふようについて食品学的な検討を行い,以下の知見を得た.
(2)製品の粗タンパク質量及び粗脂肪量は熟成の進行に伴い減少した.一方,還元糖量は熟成の進行に伴い増大した.しかしながら,粗繊維はほとんど定量されなかった.
(3)熟成過程におけるとうふようの水不溶性試料のタンパク質分解の様子をSDS-PAGEで調べた.その結果,熟成前でβ-コングリシニンのα',α及びβサブユニット.グリシニンの酸性及び塩基性サブユニットのほか7本のバンドが検出されたものの,大部分のバンドは熟成時間の経過に伴い消失した.熟成3ヵ月の試料では,グリシニンの塩基性サブユニットのバンドと分子量40-32,15-10kDa及び10kDa以下のポリペプチドが残存した.
(4)とうふようの水溶性窒素,4%TCA可溶性窒素及び75%エチルアルコール可溶性窒素量の総窒素量に対する比率で表される数値はそれぞれ熟成時間の経過に伴い増大した.熟成3ヵ月における製品のこれらの数値はそれぞれ39.0, 36.8及び23.9%であった.
(5) とうふようの硬さ及び凝集性は熟成時間の経過にともない減少した.

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