日本食品科学工学会誌
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低温殺菌処理したソーセージの菌叢と官能評価
杉山 雅昭三代 達也塚正 泰之峯岸 裕鈴木 鐵也高間 浩蔵
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1995 年 42 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

現在市販されている食肉加工品は,食品衛生法で定められた最低限の加熱条件(中心温度が63℃-30分間)よりも相当過酷な条件で殺菌されていると考えられるため,63℃未満で,食品衛生上の安全性を保持し,かつ優れた食味を有する食肉加工品の加熱条件を探索した.
(1) 市販品を模したポークソーセージペーストを55℃付近で加熱して調製し,ソーセージ中の菌叢を調べ た結果,ソーセージ中の主要な菌属はMicrococcus sp.(Z=6.9℃)とStreptococcus sp. (Z=6.3℃)であった.Z値の比較からMicrococcus sp.が高い耐熱性を有していた.
(2) Micrococcus sp.に対して4Dの殺菌効果を有する55℃で304分間および60℃で92分間の加熱条件と食品衛生法で定めらた63℃で30分間,および商業殺菌に近い70℃で30分間の加熱処理の4条件下で調製したソーセージの官能評価と物性測定を行った.55℃処理区は総合および食感に対する評価で他の処理区に比べて有意(p<0.05)に優れ,破断強度や破断変形でも他の処理区よりも高い値を示した.
63℃未満でも加熱時間を適切に設定することにより63℃-30分間加熱と同等以上の殺菌効果が得られ,食味についてもより高い評価が得られることが明らかとなった.

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