日本食品科学工学会誌
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クチナシ果実中のクロセチン誘導体の分析
市 隆人東村 豊片山 豪香田 隆俊清水 孝重多田 幹郎
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1995 年 42 巻 10 号 p. 776-783

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抄録

天然食品着色料の品質評価の観点から,クチナシ完熟果実より黄色素を抽出・分離し,主にLC-MSおよび1H-NMRを用いて構造決定を行った.さらに,クロシンの生合成についての知見を得ることを目的として,クチナシ果実の結実から完熟に至る生育過程の黄色素成分の含有量とその組成変化を,HPLCによって,経時的に追跡して,次の結果を得た.
(1)完熟クチナシ果実中には,クロセチンはほとんど存在せず,全色素の71.6%を占めるクロシン(crocetin-digentiobiosideester)以外に,6つの黄色素成分[crocetin-monogentiobiosidemonoglucosideester(5.8%),trans型およびcis型のcrocetin-mono-gentiobiosideester(6.2%),crocetin-diglucosideester(10.8%),trans型およびcis型のcrocetin-mono-glucosideester(3.3%)]が存在している.
(2)肥大成長を続けている生長過程のクチナシ果実中には,ほとんどカロテノイド色素が認められず,成熟過程の開始後からクロセチン誘導体の生合成が始まり,完熟期にかけて急速な蓄積が起こり,完熟果実のクロセチン誘導体含有量は,4.5mg/g(乾物)であった.成熟過程におけるクロセチン誘導体の組成比は,crocetin-monogentiobiosideester,crocetin-diglucosideester,crocetin-monoglucosideesterの比率が比較的高いのに対して,完熟期に達するに従ってcrocetin(crocetin-digentiobiosideester)の比率が高くなった.この組成変化の結果より,クロセチン誘導体の幾つかは,クロセチン生合成の中間前躯体であることが推察された.

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