日本食品科学工学会誌
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胡麻豆腐の粘弾性と微細構造に及ぼす胡麻の添加量の影響
佐藤 恵美子三木 英三合谷 祥一山野 善正
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1995 年 42 巻 11 号 p. 871-877

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抄録

胡麻豆腐の物性に対する胡麻の添加量の影響について,前報2)の「煮つめ法」の結果から,最も構造的に均一な調製条件である250rpmで25分間加熱して調製した胡麻豆腐のクリープ測定,離水率および走査型電子顕微鏡観察により検討し,次のような結果を得た.
(1) 胡麻の量20-80gに水450gを加えてミキサーにかけ,50メッシュのフルイを通して得られた胡麻乳(450ml)に,葛澱粉40gを添加して加熱攪拌した葛澱粉ゲルと胡麻豆腐のクリープ測定の結果,フック体弾性率(E0),フォークト体弾性率(E1),ニュートン体粘性率(ηN),フォークト体粘性率(η1)の4要素モデルとして近似的に表すことができた.また,胡麻の添加量の増加にともなって,弾性率(E0, E1)は高くなり,粘性率(ηN1)は低くなり,遅延時間も小さくなった.
(2) 走査型電子顕微鏡観察により,葛澱粉ゲルの写真では太く均一な樹枝状の構造が観察されたが,空隙が多いため,ゲルそのものの保形性はよくない.胡麻の添加量が80gの場合は胡麻豆腐の蜂の巣状構造は胡麻乳の固形物のために空隙が小さくなり,繊維状の微細構造が観察された.
(3) 葛澱粉ゲルには3%の離水が認められたが,胡麻20gでは1.2%程度であり,胡麻60g, 80gではほとんど認められなかった.以上の結果から,胡麻の成分が葛澱粉ゲルの補強及び安定化に影響を及ぼしていると考えられる.

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