日本食品科学工学会誌
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セチルトリメチルアンモニウムブロミドを用いた納豆のγ-ポリグルタミン酸の定量
納豆に関する研究(第5報)
菅野 彰重高松 晴樹
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1995 年 42 巻 11 号 p. 878-886

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抄録

納豆の粘質物の構成成分であるγ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)の定量のための,簡単で迅速な吸光光度分析法について報告した.本法はγ-PGAとセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CET)との複合体形成を基本としたものである.この複合体を400nmの吸光度を測定することにより,γ-PGAを定量することが可能であった.本法の直線関係はγ-PGAとして0-54.85μg/6ml反応液において得られた.グルタミン酸,グルタミルグルタミン酸,レバン,ペクチンおよび大豆蒸煮液から調製した80%エタノール沈澱物質は,CETと複合体を形成しなかった.
γ-PGAを納豆菌のファージ誘導性γ-グルタミルデポリメラーゼにて分解したところ,分子量の低下に伴って反応液の粘性は低下したが本法の数値は大きく変化せず,本法の分析結果はγ-PGAの分子量に影響されにくかった.
納豆製造工程において,γ-PGAは発酵後10時間から検出され,以後増加した.市販納豆34点中のγ-PGA含量の平均値と標準偏差は,100gあたり328±120.99mgであった.

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