日本食品科学工学会誌
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筋原線維蛋白質と大豆蛋白質の加熱による動的粘弾性挙動
林 利哉芳賀 聖一高橋 朋子
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1995 年 42 巻 5 号 p. 307-315

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抄録

天然アクトミオシン,ミオシンおよび大豆11S蛋白質の単独系並びに共存系における加熱挙動に関する実験を行った結果,次のことが明らかとなった.
(1) 未処理区では,動的粘弾性測定の結果から,天然アクトミオシン,ミオシンのいずれの系においても大豆11S蛋白質共存による加熱ゲル形成促進効果が示唆され,その挙動はアクチンの有無により異なっていた.また,SDS-PAGEの結果からは,天然アクトミオシンの系ではアクチンが,ミオシンの系ではMHCとLC-2が11S共存により沈殿し易くなったことが示唆された.
(2) 尿素処理区では,天然アクトミオシンは1M尿素添加によって,ミオシンの動的粘弾性挙動と極めて類似した挙動を示した.また,動的粘弾性およびSDS-PAGEの結果から,天然アクトミオシンおよびミオシン単独系の加熱ゲル形成は,2M以上の尿素処理により大きく阻害され,大豆11S蛋白質共存系では,1Mの尿素処理で完全に阻害されたことから,両筋原線維蛋白質単独系の加熱ゲル形成は疎水結合の関与が大きく,大豆11S蛋白質が共存することにより水素結合の関与が著しく大きくなることが示唆された.

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