日本食品科学工学会誌
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近赤外透過スペクトルを用いたドライソーセージ中の水分含量の非破壊迅速測定
三代 達也杉山 雅昭峯岸 裕阿部 英幸河野 澄夫岩元 睦夫
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1995 年 42 巻 6 号 p. 436-441

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抄録

乾燥熟成工程における製品の水分含量の自動計測を最終目的とし,オン・ライン計測に適した光ファイバーを用いた近赤外透過法によるドライソーセージの水分含量の非破壊迅速測定法について検討し,次の結果を得た.
(1) 水分含量が減少するにつれて2次微分スペクトルでは,972nm近傍の吸収の強度が弱まった.
(2) 水分含量と2次微分スペクトルデータとの間の単相関係数を測定した波長毎に計算した結果,水の吸収帯が存在する970nm近傍で単相関係数は-1に近い値を示した.
(3) 水分含量と2次微分スペクトルデータを基に重回帰分析を行った結果,972nmを第1波長,863nmを第2波長とする検量線において,相関係数0.996,検量線作成時の標準誤差(検量線標準誤差,SEC)0.54%,検量線評価時の標準誤差(予測標準誤差,SEP)0.70%,バイアス-0.11%の高い測定精度が得られた.第1波長に採用された972nmは水の吸収バンドで,OH基の第2倍音に帰属される.
(4) 水分含量と水分活性の関係を調べた結果,水分活性の自然対数値と水分含量の逆数値との間で直線関係が成立し,その相関係数は0.985に達した.
以上のことから,光ファイバーを用いて近赤外透過スペクトルを測定することによりドライソーセージの水分含量を非破壊的にしかも迅速に精度良く測定でき,加えて測定された水分含量から水分活性が測定できる可能性が示唆された.

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