日本食品科学工学会誌
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分離大豆タンパク質冷蔵ゲルの物性および組織観察
大豆タンパク質の冷蔵ゲル化現象に関する研究(第3報)
添田 孝彦
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1995 年 42 巻 7 号 p. 485-491

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抄録

加熱分離大豆タンパク質より調製された冷蔵ゲルの物性を,通常の加熱ゲルや凍結ゲルと対比させて調べ,以下の知見を得た.
(1) ゲル強度-変形率の関係より,冷蔵ゲルの変形率はいずれのゲル強度領域においても加熱ゲルより高い値を示した.
(2) 冷蔵ゲルは加熱ゲルや凍結ゲルと比べE0, ηNは低い値を示し,逆にλは高い値を示した.
(3) 冷蔵処理加熱ゲルもしくは冷蔵処理凍結ゲルは,冷蔵処理しない加熱ゲル,凍結ゲルと比べ高い変形率を示した.
(4) 冷蔵ゲル化過程において,100℃並びに140℃加熱タンパク質の場合は処理日数経過に伴ってゲルの保水力は増加し,80℃加熱と未加熱のタンパク質の場合はほとんど保水力の増加はみられなかった.
(5) NMR測定による冷蔵ゲルの線幅値は処理日数経過に伴って減少した.一定に達した冷蔵4日目の冷蔵ゲルの線幅値は加熱ゲルよりも大きく,自由水がゲル中でより均一に分散していると考えられた.
(6) SEMにより,冷蔵ゲルは加熱ゲルや凍結ゲルと比べ組織の構成単位が大きいことが推察された.
(7) 官能的には冷蔵ゲルは加熱ゲルと比べると若干やわらかいが,しなやかさとなめらかさは危険率1%の有意差をもち,凍結ゲルとは全ての特性において危険率1%の有意差をもって高いスコアーを有した.

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