日本食品科学工学会誌
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スライス牛肉の筋原線維の小片化,筋肉蛋白質の抽出性およびLDH活性に及ぼすガス置換包装の影響
スライス牛肉のガス置換包装に関する研究(第2報)
六車 三治男岡山 高秀村上 新一山田 裕一
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1995 年 42 巻 7 号 p. 505-511

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抄録

スライス牛肉の筋原線維の小片化,蛋白質の抽出性およびLDH活性に及ぼすガス置換包装の影響を検討した.スライス牛肉を(A)ストレッチ包装(対照),(B)20% CO2+80% O2真空ガス置換包装,(C) 20% CO2+ 80% O2フラッシュガス置換包装し,5℃に2, 4, 6, 8日間貯蔵した.その結果,すべての試料の筋原線維の小片化の程度は徐々に増加した.筋原線維の小片化の速度は対照>(B)>(C)の順であった.すべての試料の水溶性および塩溶性の蛋白質の抽出性は貯蔵中に減少した.異なる条件下で貯蔵した牛スライス肉からのGS-溶液で抽出される蛋白質のSDS-PAGEパターンは,塩溶性蛋白質の減少は主にミオシンの抽出性の減少に起因することを示している.対照のLDH活性は貯蔵中に減少した.しかし,ガス置換包装の試料はLDH活性を維持し,特に試料(C)ではよく保持された.これらの結果は,ガス置換包装した試料では貯蔵8日後でさえも生物活性を保持していることを示唆している.

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