日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
グロビン加水分解物の会合による凝集体の形成
劉 新旗米倉 政実堤 将和
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1995 年 42 巻 8 号 p. 562-568

詳細
抄録
グロビン加水分解物(GH)に含まれる各成分の性状とゲル形成性との関連について検討し,下記のような結果を得た.
(1) 加水分解直後のGHは,グロビン(G)と同程度の分子量を持っポリペプチドとGよりも低分子のポリペプチドからなり,凝集体は認められなかった.
(2) GHを30℃で10時間以上放置したところ,70万以上の分子量を持つ凝集体が生成した.なお,この凝集体は,分子量1.5万以下のものから構成されていた.
(3) 粉末化したグロビン加水分解物(GH標品)ならびにGHゲルの溶解物の中にも,(2)と同程度の分子量を持つ凝集体が認められ,これらの凝集体も分子量1.5万以下のポリペプチドから構成されていた.
(4) GH標品の疎水クロマトグラフィーの結果から,GH標品は少なくとも疎水性の異なる三つの成分(GHP1, GHP 2, GHP 3)からなっていることがわかった.また,ゲル濾過で得られたP 1は,GHP 3からなり,P 2は疎水性の異なる二つの成分(GHP 1とGHP 3)から構成されていることがわかった.
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top