日本食品科学工学会誌
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魚肉ゲルの通電加熱における周波数帯の影響
朴 聖〓金 道彦植村 邦彦野口 明徳
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1995 年 42 巻 8 号 p. 569-574

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抄録

魚肉蛋白ゲルを対象に交流通電での発熱機構と周波数の影響を明確にするため,1(w/w)%の低塩濃度で調製した魚肉ゲルの各周波数での昇温速度とゲル強度について検討した.
(1) ゲル組成に関係なく,高い周波数ほど昇温速度は高くなり,湯煎と比較して塩化ナトリウム1%澱粉10%のゲルで最大約7.5の昇温速度が認められ,通電加熱が迅速な内部加熱方法であることを確認した.
(2) ゲルのインピーダンスは1kHz以上では,組成に関係なく,加熱処理前後でも大きな違いが認められず,昇温速度の違いは,与えられた周波数におけるε″に起因する発熱にあると考えられる.
(3) ゲルの外観と実体顕微鏡観察による微細構造は,組成,通電加熱時の周波数にかかわらず,湯煎のそれと違いは認められない.
(4) 同組成で90℃湯煎時のゲル強度を基準値1.0とすると,塩化ナトリウム1%澱粉10%のゲルの場合,10kHz通電加熱時に最大約1.6となった.しかし,昇温速度とゲル強度の間には,明確な相関は観察されなかった.

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