日本食品科学工学会誌
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エラスターゼ高活性納豆の開発
村松 芳多子金井 幸子木村 典代三浦 紀子吉田 桂子木内 幹
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1995 年 42 巻 8 号 p. 575-582

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抄録

機能性を有する納豆を製造するためにエラスターゼ活性に注目し,エラスターゼ活性の高い納豆菌をスクリーニングした結果,エラスターゼ高活性菌株KFP 419を,60Co照射による突然変異で取得することができた.KFP 419はB. subtilisと同定された.そのKFP 419と親株KFP 355,市販納豆菌(3種)をそれぞれ用いて,納豆を試作した.KFP 419と親株KFP 355の納豆は,強いゴム状の粘質物を生成し,味,嗜好性,香り等その他の特性は市販納豆菌KFP 1, 2, 4の納豆と変わりなかった.官能検査の結果,市販納豆菌KFP 1, 2, 4の納豆より高い評価が得られた.
エラスターゼ活性は,市販納豆菌KFP 1, 2, 4の納豆よりもKFP 419で試作した納豆の方が2-3倍高かった.
γ-GTP活性,相対粘度,プロテアーゼ活性と旨味との相関関係は見出されなかったが,相対粘度が高いときはγ-GTP活性,プロテアーゼ活性が高い傾向を示した.その他一般成分については大差は見られなかった.糖成分としてはスタキオース,フラクトース,ラフィノースは納豆には検出されず,スクロースと未同定のピークが検出されたのみであった.また,有機酸成分は最も多いものとして酢酸,次いでイソ吉草酸,イソ酪酸,ヘキサン酸の順に納豆に多く存在していた.大豆・蒸煮大豆には含まれていなかった4-メチル吉草酸が納豆には存在していた.有機酸総量は顕著な差は認められなかった.

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