日本食品科学工学会誌
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尿素加熱グロビンの乳化特性
グロビンの乳化特性の改善(第2報)
馬場 年生宮口 右二永山 精美堤 将和
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1995 年 42 巻 9 号 p. 613-618

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抄録

尿素加熱処理グロビン(UHG)ならびにUHG-脂肪酸複合体を調製し,それらの乳化特性について検討した.
1. グロビンの乳化活性ならびに乳化安定性は,グロビンを処理する尿素濃度によって変化した.結果的には,6M尿素加熱処理グロビンで最大の乳化活性値が,また,本グロビンエマルションで最も高い乳化安定性が得られた.
2. UHGの乳化活性ならびに乳化安定性は,pH 7.0とpH 8.5でグロビンよりも高く,酸性側(pH 2.5-pH5.5)では,グロビンよりも低かった.
3. UHGの溶解性は,pH 4.0-pH 5.0で最低となった.また,pH 2.0-pH 6.0の範囲で,溶解性はグロビンよりも低く,pH 7.0-pH 9.0ではグロビンよりも高かった.
4. 脂肪球に吸着しているタンパク質量を定量した.酸性側でグロビンエマルションの脂肪球は,UHGエマルションのそれよりも多くタンパク質を吸着していた.しかし,中性からアルカリ性側では,UHGエマルションの脂肪球の方が,より多くタンパク質を吸着していた.
5. グロビンの表面疎水性は,pH 7.0とpH 5.5でUHGよりも高く,酸性側ではUHGよりも低かった.
6. UHGFAあるいはUHGFBの乳化活性ならびに乳化安定性は,いずれもグロビンと同程度か,あるいは,グロビンより高かったが,UHGに勝るものではなかった.

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