日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
包装すりごまの紫外線照射時における保存性に対する包装材の影響
竹井 よう子井奥 加奈牧本 昭一安川 秀範玉井 敏永
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 43 巻 1 号 p. 40-48

詳細
抄録

リサイクルに配慮した包装材の開発という観点からアルミニウムラミネートの食品保存に対する性能を再検討し代替の可能性を考察した.すりごまの保存においては,油脂が酸化しにくいため酸化に対する酸素透過性や紫外線遮断性の影響は顕著ではなかった.しかし,酸素遮断の効果が紫外線遮断効果より大きく,紫外線遮断の効果もわずかに認められ,アルミラミネートでは酸化が起こらなかった.
匂いの保持に対しては,紫外線透過性のある包装材での劣化が著しく油脂の変敗臭が発生した.酸素透過性は長期保存の場合,油脂の変敗臭成分がわずかに生成してきたので影響はあると考えられる.本研究で用いた透明フィルムはいずれも紫外線により揮発性物質を発生し,これが香りを弱め,匂いの劣化をもたらした.アルミラミネートはわずかに匂いが弱まったが顕著な変化は見られず,匂いの保持効果が高かった.匂いの保持には紫外線遮断が重要であり,フィルムの紫外線安定性も必要とされることが分かった.
アルミラミネートの代替フィルムの開発には,さらに,匂いの保持と同様に,全く報告がない乳化性の保持,口ざわりの保持に対する光,酸素の影響も検討する必要があろう.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top