日本食品科学工学会誌
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脂肪酸塩とβ-コングリシニンの結合-β-コングリシニンの脂肪酸塩結合部位について-
岩淵 せつ子伊勢崎 哲生山内 文男
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1996 年 43 巻 1 号 p. 75-84

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抄録

大豆β-コングリシニンに対する中級脂肪酸ナトリウム塩の結合について物理的及び化学的に修飾したβ-コングリシニンを用いて研究した.β-コングリシニンのネイティブ構造と正荷電グループのリガンド結合部位としての役割,及びそのアミノ酸配列上における局在について検討した.四次構造を保持したネイティブ構造が最大のリガンド結合数を示した.これに対し,化学修飾したタンパク質分子のリガンドに対する親和性は,いずれもネイティブなβ-コングリシニンに比較して劣っていた.メチルオレンジとの競合試験の結果から,メチルオレンジと脂肪酸のβ-コングリシニンへの結合は同じ正荷電領域で起こることが示唆された.脂肪酸イオンとβ-コングリシニンとの結合は,ペプチド鎖のN末端に近接して存在する陽荷電領域との静電的相互作用と,脂肪酸炭素鎖とタンパク質の疎水領域との疎水性相互作用の両者の関与が考えられた.還元状態及び非還元状態のβ-コングリシニンを用いて研究したところ,サブユニット間に形成されたSS結合によりβ-コングリシニン分子(特にN末端付近)のゆらぎが減少し,脂肪酸の結合特性が著しく変わった.この結果から,脂肪酸の重要な結合部位がαとαサブユニットの接触領域の割れ目に局在する可能性が強いと推察された.

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